四輪タイプの特定小型原付について、販売店として感じたこと
先日、AINOHOTの四輪タイプ特定小型原動機付自転車「SAGA life」を試乗してきました。
SAGA lifeは、四輪構造、前カゴ、後部荷台、前進・後退機能を備えた、これまでの電動キックボード型とはかなり性格の違う特定小型原付です。
見た目だけで言えば安定感があり、買い物や近距離移動、免許返納後の移動手段として気になる方も多い車両だと思います。
今回の記事では、販売店として実際に試乗して感じたことを、良い点と注意点の両方から率直にまとめています。
SAGA lifeは、用途が合えばとても魅力のある車両です。
一方で、四輪で安定して見えるからといって、誰にでも気軽におすすめできる車両ではないとも感じました。
これから検討される方に向けて、実際に乗って感じたことと、購入前に確認しておきたい点を整理してお伝えします。
かなりパワフルです
最初に走って感じたのは、SAGA lifeはかなりパワフルだという点です。
通常の街中にあるような、ちょっとした坂道であれば、前進はもちろん、後退でも問題なく登っていきました。
四輪タイプで車体重量もある車両として考えると、坂道でしっかり動いてくれる点はかなり魅力があります。
買い物や荷物の運搬、近距離の移動を考えた場合、力不足を感じにくいというのは大きなメリットです。
特に、山間部や地方の過疎化が進む地域など、日常の移動手段が限られる場所では、生活の足として検討する価値があると感じました。
また、公道だけでなく、広い敷地内での移動や、農作業まわりの荷物運搬、工場・倉庫・施設内での移動など、クローズドな環境であれば、より使い方をイメージしやすい車両だと思います。
ただし、パワーがあるということは、スロットル操作を慎重に行う必要があるということでもあります。
便利な反面、軽い気持ちで操作する車両ではありません。
前進・後退ができる便利さと、バック走行時の注意点
SAGA lifeには前進だけでなく、後退機能もあります。
右ハンドル側のスイッチで、D(前進)/R(後退)を切り替える構造です。
車体に長さがあるため、狭い場所での方向転換や、切り返してUターンしたい場面では、後退できる点は便利だと感じました。
一方で、バック走行時は後方の進行方向を確認しながら、ハンドル操作も同時に行います。
特に、車体の向きが変わっていく感覚に慣れていないと、思った方向へ下がれない可能性があります。
前進・後退ができる点は便利ですが、バック走行については、操作に慣れておきたいところです。
坂道アシスト機能について
SAGA lifeには、坂道アシスト機能が搭載されています。
坂道での発進や停止、下り坂での速度管理をサポートする機能がある点は、SAGA lifeの特徴のひとつです。
坂道で前進・後退ともに力強く動いてくれることに加えて、こうした補助機能が備わっている点は、日常の移動や荷物運搬を考えるうえで安心材料になると思います。
ただし、今回の試乗ではこの機能を細かく確認できていないため、具体的な操作方法や作動条件については、使用前にしっかり確認しておきたい部分です。
坂道では、発進、停止、減速、サイドブレーキなどを状況に応じて確実に操作する場面があります。
そのため、使用前には各機能の使い方を確認し、とっさの場面でも間違えずに操作できるようにしておくことが大切です。
20km/hモードでは、出だしのスロットル操作に注意が必要です
6km/hモードでは、車体の動きも穏やかで安定している印象でした。
一方で、20km/hモードにすると、6km/hモードとの差がかなり大きく感じます。
スロットルを開けると、思った以上にスピードが乗っていき、あっという間に最高速度付近まで加速していく感覚がありました。
これは、SAGA lifeのパワフルさでもあります。
力強く加速する点は魅力ですが、発進時にスロットルを一気に開けると、車体が想定以上に前へ出る可能性があります。
そのため、モーターに駆動がつながる瞬間は、スロットルをじわっと慎重に開けていくことが重要です。
四輪だから安全、とは簡単には言えません
SAGA lifeは四輪タイプの車両です。
停車時や低速時の安定感は確かにあります。
ただし、四輪だからといって、どんな状況でも安全というわけではありません。
特に注意したいのは、速度が出ている状態での急なハンドル操作です。
20km/hモードで走行中など、速度が出ている状態で急にハンドルを切ると、乗員の身体が外側へ大きく振られる可能性があります。
また、坂道アシスト機能がある場合でも、急なハンドル操作そのもののリスクがなくなるわけではありません。
例えば右にハンドルを切れば、身体は左側へ振られます。
そのときに乗員が踏ん張れていないと、身体が大きく持っていかれるような挙動につながります。
これは車体そのものを否定する話ではなく、四輪で座って乗る小型モビリティとして、使用する側が理解しておきたい特性です。
四輪で安定して見えるからこそ、「ゴーカート感覚」で乗るのは危険です。
ハンドルの左右の振れについて
試乗中、20km/hモードで速度が出た状態では、直進中であってもハンドルに余計な入力を入れたり、急な操作をした場合に、ハンドルが左右に振られるような挙動を感じました。
いわゆるシミーやウォブルに近い動きと表現されることもあると思いますが、今回の記事では原因を断定するものではありません。
タイヤ径、ハンドル幅、車体寸法、ステアリング機構、サスペンション、荷重のかかり方、路面状況など、複数の要素が関係する可能性があります。
ハンドルの振れが大きくなった場合、乗員が外側へ大きく振られたり、車体の制御が難しくなるリスクがあります。
このような挙動を感じた場合は、無理にハンドルで抑え込もうとせず、まずはスロットルを戻し、落ち着いて減速することが重要です。
シートベルトについて感じたこと
SAGA lifeには、シートベルトは装備されていません。
ここまで書いてきたように、速度が出た状態で急なハンドル操作をした場合や、車体の挙動が大きく乱れた場合、乗員の身体が外側へ振られる可能性があります。
そのため、身体を保持する仕組みがあった方がよいのではないか、と感じる場面もありました。
ただし、ここは簡単に結論を出せる部分ではありません。
ロールケージや車室を持たない小型モビリティの場合、万が一車体ごと横転した際に、身体が車体に固定されていることで、別のリスクにつながる可能性もあります。
つまり、シートベルトがあれば安全、シートベルトがないから危険、という単純な話ではありません。
この点は、販売店としても判断が難しい部分だと感じました。
足回りとブレーキについて
四輪タイプの車体として足回りはしっかり作られている印象でした。
また、各輪に油圧式ディスクブレーキが備わっていることも確認できました。
タイヤは12インチのチューブタイヤです。
チューブレスタイヤにもメリットはありますが、小径タイヤで車体重量がある車両の場合、パンク時の状況によってはビードが落ちてしまうことがあります。一度ビードが落ちると、高圧のコンプレッサーなどがないと簡単には上がらない場合もあるため、販売店としては、チューブタイヤの方が整備対応しやすい面もあると感じました。
もちろん、チューブタイヤにもパンク修理やチューブ交換が必要になる場面はあります。
ただ、チューブタイヤに対応できる店舗であれば、万が一のパンク時にも修理相談がしやすい場合があります。
この車体構成では、チューブタイヤであることにも一定のメリットがあると思います。
走行できる場所には条件があります
SAGA lifeに限らず、特定小型原付は、歩道と車道の区別がある道路では、原則として車道を通行する乗り物です。
また、歩道を走行できるのは、特例特定小型原付として走行できる状態で、かつ道路標識等により歩道を通行できることとされている場合など、条件を満たす場所に限られます。
SAGA lifeは6km/hモードを備えた車両ですが、6km/hモードならどこの歩道でも走れるわけではありません。
この点は、SAGA lifeのような四輪タイプでは特に重要だと思います。
6km/hモードでは車体の動きも穏やかで安定している印象でしたが、6km/hモードのまま車道を走るのは現実的に厳しい場面もあると思います。
一方で、20km/hモードで車道を走る場合は、周囲の車両や自転車、歩行者との関係を考えながら走行することになります。
特に都市部や交通量の多い場所で日常的に使う場合は、かなり慎重に考えたい車両です。
参考:警視庁「特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について」
VOLT EDGEでの取り扱いについて
VOLT EDGEでは、四輪特定小型を店頭在庫車・試乗車として常設する予定は、現状ではありません。
ただし、車両の特徴をご理解いただいたうえでご希望の場合は、取り寄せ販売として対応いたします。
ご購入を検討されるお客様には、使用目的や保管場所、お住まい周辺の道路状況、交通量、坂道の有無などを確認しながら、車両の特徴や注意点をご案内いたします。
SAGA lifeは、用途が合えば便利な車両だと思います。
ただし、四輪で安定して見えるからこそ、購入前に実際の使用環境と操作への理解を確認しておきたい車両です。
そのため当店では、お客様のご希望を伺いながら、使用環境に合うかどうかを一緒に考えたうえでご案内いたします。