定休日を利用して、特定小型原付の航続距離テストを行ってきました。
今回使用した車両は、LIBEROTA E-LIBER 01です。
この記事は、E-LIBER 01の性能だけを評価することが目的ではありません。
特定小型原付で実際に長い距離を走った場合、どの程度走れるのか、また乗っている人間がどのように感じるのかを確認するための実走テストです。
走行距離は、体重、気温、風、路面状況、坂道、停止回数、タイヤ空気圧などによって変わります。今回の結果は、あくまで一つの実走例としてご覧ください。
霞ヶ浦まで車両を運んでテスト開始
今回はE-LIBER 01をサンバーに積み、霞ヶ浦の天王崎公園駐車場まで移動しました。
湖畔周辺の一般公道を走り、折り返して駐車場まで戻ってくる計画です。
メーカーが公表しているE-LIBER 01の電動走行距離は、次のとおりです。
メーカー公表電動走行距離:43km
メーカー公表の試験条件は、
荷重約65kg
気温5℃前後
一般道を走行
2025年2月の社内テスト結果
となっています。
今回のテスト条件は、以下のとおりです。
ライダー体重:約56kg
気温:約30℃
風:約2~3m/s程度
20km/hモードのみ使用
一般公道のみ走行(ほぼフラット)
走行開始前のODOメーター:約1km
条件が異なるため、メーカー試験と完全に同じ比較にはなりません。
車体の液晶モニターのODOメーター距離を採用します。
走行開始。この時点ではまだ余裕
走り始めた直後は、霞ヶ浦の景色も良く、前後サスペンション付きの車体ということもあり、快適に感じました。
オートクルーズ機能も非常に便利です。
E-LIBER 01は、同じ速度で約8秒間走行すると、その速度を維持するオートクルーズが作動します。
長い直線ではアクセルを握り続けなくて済むため、手の負担はかなり軽減されました。
ただし、10kmほど走ったあたりから、別の感想が出てきます。
速度に慣れると20km/hが、とにかく遅く感じる。
短距離ではそれほど気になりませんが、長い距離を走ると、なかなか目的地に着かない感覚が強くなってきました。
ほほえみの浜で、少し遊んでしまいました
途中、微笑みの浜に立ち寄りました。
湖畔へ下りた先に砂地があったため、アクセルを回して少し走ってみることにしました。
砂の上ではタイヤがうまく路面をつかまず、車体の後ろが右へ左へ振られながら進みます。
これがオフロードバイク気分で意外と楽しくて、少し遊んでしまいました。
ただし、砂地は舗装路よりも走行抵抗が大きく、モーターやバッテリーへの負荷も増えます。
この砂地走行が、後半の航続距離にどの程度影響したかは分かりません。
それでも、余計に電力を使った要因の一つにはなった可能性があります。
この時の私は、まだ知りませんでした。
このあと約7km、車両を押して歩くことになるとは……。
長距離になると、乗り心地の印象も変わる
走り始めた直後は、前後サスペンションのおかげで、乗り心地は悪くないと感じました。
しかし、10km、20kmと走行距離が伸びてくると、その印象も変わってきます。
細かな振動や段差の衝撃が徐々に身体にたまり、お尻も痛くなってきました。
E-LIBER 01は、特定小型原付の中では乗り心地が良い部類だと思います。
ただし、それはあくまで特定小型原付の中ではという話です。
フロントサスペンションは、段差を越えて沈んだあと、伸び切る際に「カコン」と音が出ることがあります。
内部構造を分解して確認したわけではないため、オイルダンパーの有無などは断定できません。
ただ、動きとしては本格的なオートバイ用サスペンションのように、戻り側の動きまでしっかり制御されている印象ではありませんでした。
前後サスペンション付きだからといって、長距離でも快適に走れると考えるのは難しそうです。
サスペンションへの過度な期待は禁物です。
大井戸湖岸公園で折り返し
大井戸湖岸公園で休憩し、ここから天王崎公園駐車場へ戻ります。
この時点では、まだバッテリー表示はまだ4メモリ残し。
駐車場からの走行距離約23km
そろそろ折り返した方がいいとは思っていたものの、正直なところ、
「意外と走り切れちゃうんじゃない?」
と思っていました。
結果から言えば、この判断はかなり楽観的でした。
約36kmで20km/hを維持できなくなる
復路を走行中、今回の走行距離が約36kmに達したあたりから、20km/hを維持できなくなってきました。
バッテリー残量の低下に伴い、最高速度、電圧表示が徐々に落ちていきます。
その後も少しの距離は電動で動くこと自体はできましたが、速度はさらに低下しました。
今回の条件では、約36km走行した時点から20km/hでの実用走行が難しくなったという結果になりました。
ODOメーター37km、残量1メモリ点滅
写真では、オドメーターが37kmを表示しています。
この試乗車はテスト開始前に約1km走行していたため、今回の走行距離は約36kmです。
バッテリー残量は1メモリが点滅している状態でした。
ここからも低速では進みましたが、速度はどんどん低下。
最後の方は2km/h程度しか出なくなり、車両に乗っているよりも、歩いた方が早い状態になりました。
そのため、実用的な電動走行はここで終了と判断しました。
駐車場まで、まさかの残り約7km
ここからGoogleマップで駐車場までの距離を確認すると、残りは約7km。
2km程度なら押して歩く覚悟はしていました。
しかし、まさかの7kmです。
写真の右上、遠くに見えているのが、スタート地点の天王崎公園駐車場です。
見えてはいるのですが、歩いても歩いても、なかなか近づきません。
ここからE-LIBER 01を押しながら、ひたすら駐車場を目指しました。
約1時間半かけて、日暮れ直前に帰還
約7kmをトボトボ押して歩き、約1時間半かけて、なんとか日暮れ前に駐車場へ到着しました。
今回、一番大変だったのは、車両に乗っていた時間よりも、最後に押して歩いた7kmだったかもしれません。
航続距離テストで限界付近まで走る場合、折り返すタイミングは非常に重要です。
今回のように片道を走りすぎると、帰り道でバッテリーが減った際、長い距離を押して戻ることになります。
実際に長距離を走って感じたこと
今回、特定小型原付で長い距離を走って改めて感じたのは、特定小型原付は基本的に近距離移動に向いた乗り物だということです。
短い買い物や、駅までの移動、近距離の通勤などでは、非常に気軽で便利です。
一方で、10km、20kmと走行距離が伸びてくると、
・20km/hが非常に遅く感じる
・お尻が痛くなる(クッションカバー等で解決可能)
・小径タイヤやコンパクトな車体による疲労が出る
・サスペンション付きでも長距離では振動が気になる
・移動時間が長く感じる
といった点が気になりました。
オートクルーズ機能は非常に便利でしたが、それ以上に、20km/hで長時間移動すること自体のつらさを感じました。
航続距離100kmなら、連続100km乗りたいか
最近では、航続距離100kmをうたう特定小型原付もあります。
大容量バッテリーや、自転車に近い大きな車体を採用しているモデルであれば、E-LIBER 01よりも長距離向きになるモデルはあります。
ただし、特定小型原付の法定最高速度は20km/hです。
100kmを走るには、単純計算でも走行時間は5時間以上。
実際には信号や休憩、速度低下などもあるため、さらに長い時間が必要になります。
そのため、単純に航続距離が長ければ良いとは限りません。
大切なのは何km走れるかだけではなく、
その距離を、その車両で本当に快適に走りたいと思えるか
ということだと感じました。
自転車としてこげれば安心なのか
バッテリーが切れた場合に、自転車としてペダルをこいで帰れる特定小型原付もあります。
緊急時に自力で移動できる点は、確かにメリットです。
ただし今回のように、そもそも長距離を走って疲れている状態で、さらに何kmもペダルをこいで帰るのは簡単ではありません。
「バッテリーが切れても自転車として帰れるから、限界まで走っても大丈夫」
と考えるのではなく、最初から十分な余裕を持った距離で使う方が現実的です。
今回の結論
今回使用したE-LIBER 01が悪いという話ではありません。
E-LIBER 01は、コンパクトな車体、前後サスペンション、オートクルーズ機能など、近距離で気軽に使うには便利な車両です。
ただし、今回のように長距離を走ると、特定小型原付という乗り物の得意・不得意がはっきり見えてきます。
特定小型原付は、
・近所への買い物
・駅までの移動
・近距離の通勤
・駐車場所に困りやすい場所への移動
・混雑した観光地の移動
などに向いています。
一方で、今回実際に長距離を走行した私自身は、
・長距離ツーリング
・長時間の連続走行
・速度を出して移動を楽しむ用途
には、あまり向いていないと感じました。
ただし、これは長距離利用そのものを否定するものではありません。
移動手段や目的がはっきりしていて、生活環境や道路状況、必要な走行距離、充電環境などを十分に考慮したうえで使用するのであれば、長距離でも実用になる場合があります。
実際に当店のお客様の中には、免許返納後の生活上の移動手段として特定小型原付を使用し、往復約50kmの町まで移動されている方もいらっしゃいます。その方にとっては、ツーリングを楽しむためではなく、日常生活に必要な移動手段として、特定小型原付が明確な役割を持っています。
大切なのは、単純に長距離だから向いていないと判断することではなく、
どこまで走るのか、どのような道を走るのか、途中で充電できるのか、帰りのためにどの程度余裕を残すのかまで具体的に考えたうえで、車両を選ぶことです。
今回、私自身が長距離を走ってみて、ツーリングを楽しむ用途であれば、改めてオートバイの方が向いていると感じました。
しかし、どの乗り物が優れている、劣っているという話ではありません。
それぞれの乗り物には、それぞれ向いている使い方があります。
航続距離の数字だけで選ぶのではなく、
自分が何km程度を、どのような道で、何のために移動するのか
を具体的に思い描いたうえで、ご購入いただくことが大切です。
今回の実走テストが、特定小型原付をご検討中の方の参考になれば幸いです。